
剣道では「攻め」が非常に重要だといわれます。
しかし「攻めとは何か」と聞かれると、はっきりと言葉で説明するのは意外と難しいものです。
いろいろな人達が言っていることを参考にしながら、剣道の攻めについて考えると、
剣道における攻めとは、
相手の心理や動きを読み取り打突の機会を作り出すための仕掛け
のことと言えるのではないかと思います。
相手に「どうするべきか」を迫り、その反応によって打突の機会を生み出す。
それが剣道の攻めの本質です。
攻めにおける「心の役割」
剣道において、常に剣と体を操るのは“心”です。
言い方を変えると、剣や体の動きは心の表れです。
攻めにおける心の役割は、相手の狙いや反応を見極めようとすることであり、そのような意思を、剣や体の動きに表すことです。
具体的な剣や体の動きは後に書きますが、
- 相手の剣を動かして物理的な隙を作る
- 相手に「打たれるかもしれない」と思わせる
などを行うことで、相手に圧力をかけ、相手の反応をうかがうわけです。
攻めることで、
相手に決断を迫り、相手の反応を引き出す
のですが、そのようにしようと意図することが心の役割です。
攻めにおける「剣の役割」
攻めにおける剣の役割は、剣を動かすことによって相手の剣の自由を奪ったり、相手に打たれることを意識させることであり、代表的なものは以下のようなものです。
①剣を押さえる(中心を取る)
最も基本的な攻め方。相手の構えの中心を制し、自分が有利な位置を取ります。
中心を取られると、相手は剣の自由が奪われ、打ったり守ったりしにくくなります。
表からでも裏からでも良いですが、相手が「押さえられている」と感じるか、感じないか程度に軽く押さえると効果的と言われています。
それだけで、こちらが打突に転じたとき、相手の動き出しを一瞬遅らせるには十分なのです。
②剣を払う
相手の竹刀を払って、打突の機会を作り出すのですが、払い技には大きく分けると2つの方法があります。
- 剣を払うことで直接的に隙を生じさせる
- 剣を払い、相手がそれを元に戻そうとすることを利用する
前者は、表から払って面、裏から払って小手などが代表的な技となります。
後者は、表から払っておいて相手がそれを元に戻そうとする間を利用して裏から小手や、上から下に竹刀を払い、相手がそれを元に戻そうとする間を利用して下から小手などがあります。
③剣を巻く
手の内の作用を使って、相手の竹刀に自分の竹刀を巻き付けるようにして相手の竹刀を絡め取ることであり、巻き技と呼ばれます。
④剣を下げる
自分の竹刀を小さく下げて相手の竹刀の下に入れることで、相手の「小手」に対する警戒心を煽る攻め。
下を攻められた相手は、小手を守るため、剣先を開いたり、手元を引いたりという反応をします。
この攻めは、小手を攻めつつも面を打つこともでき、また剣を下げることにで相手から剣先が見えにくくなる(技の出どころが見えにくくなる)効果もあります。
⑤剣を開く
剣を開く攻め方は、2パターンあります。
- 剣を少し開き、相手が「今だ!」と感じて打ってくる、その出鼻を打つ。
- 剣をやや大きく開き、相手が「打ちたいが、打つと返される」と迷うところを打つ。
相手との間に力差がある時などは、前者が有効ですが、少しリスクの高い攻め方です。後者は、学生さんなど若い方の試合でよく使われています。
⑥剣を担ぐ
担ぎ技と言われる攻めです。
相手は自然とこちらの剣先の動きを見て対応しています。
そのため、不意に竹刀を担ぐ(自分から見て左上に竹刀を振り上げる)と相手はその動きにつられて、剣先を大きく開いたり、上げたりしてしまうことがあります。
その瞬間を打とうとする攻め方です。
攻めにおける「体(足)」の役割
攻めにおける足の役割は、攻め足を入れて、相手の反応をうかがうことです。
攻め足は、単に動作として捉えると送り足における右足の動きのことですが、役割的な意味から攻め足と呼びます。
剣の働きとともに攻め足を入れることによって、相手は
- 打たれるかもしれない
- どこかを守ろう
- 打つべきか
という判断を迫られます。
このときに相手に生じる迷い・動きが、打突の機会になります。
まとめ
剣道における「攻め」は、打突の機会を自ら作り出す技術であり、いろいろなところに、その巧拙を決める要素があるのですが、「攻め」の最も重要なポイントは、その攻めが打突につながっていることだと思います。
どんなに強く攻めることができて、相手を大きく動かすことができても、相手を攻め切った瞬間に打突することができなければ、攻めた意味はなくなってしまいます。
ですから、攻めについて考えたり、稽古したりする時には、常に打突をセットにして考えておくことが大切なのではないかと思います。