GEN-DO|考えて、動く。

思考と行動のあいだにある「道」を探求するブログ。 日々の気づき、考え方のヒント、行動を変える習慣、そして剣道から学んだ哲学を綴る。 考えるだけで終わらせず、実際に「動く」ことで見える景色を共有する。

剣道における「虚実」とは ― 心の攻防と駆け引きの本質

虚実とは、気の充実と空白の状態を指す言葉です。 そして剣道の勝負は、速さや力の強さだけでなく、この「虚」と「実」のやり取りの中で決まっていきます。

1.虚実(模範解答)

全日本剣道連盟公式サイトにある剣道学科審査の問題例と解答例では、「虚実」について以下の通り説明しています。

「虚実とは空虚と充実を意味し、精神や気力が未だ充実していない状態を虚といい、充実した状態を実という。自らは気勢が充実し、心身に油断や隙のない実の状態をつくり、相手を如何に虚の状態にするかが勝ちを得る重要な要素となる。したがって、実を避け虚を打突するといった工夫をするとともに、自分は虚の生じないように心掛けることが肝要である。」

2.虚実を使う

虚実は「相手が虚になったところを打つ」「自分は常に実である」と説明されます。これは非常に大切な基本的な考え方です。

しかし、虚実にはもう一つの側面があります。 それは「虚実を使う」ということです。

つまり、虚実の「虚」は意図せず生じてしまうだけではなく、意図的に使うこともできるのです。

「虚実を使う」とは

例えば次のような技です。

  • 面を打つフリをして小手を打つ
  • 下がったように見せて相手を引き込んで打つ

他のスポーツでいうところのフェイントとかフェイクと言われる技、こういったものも剣道では「虚」と言います。要するに外から見えるようには中身が伴っていない技(動き)のことです。

「虚の技」を使って相手の心を動かし、相手に「虚」を生じさせ、そこを「実の技」で打つのです。これが「虚実を使う」ということです。

3.虚は実に勝てない

虚実を使うことは、剣道ではとても大切な駆け引きの一つなのですが、「虚の技」では相手を打つことはできません。相手を打つのは必ず「実の技」です。

何が言いたいのかというと、「虚の技」つまり中身の伴っていない技ばかり稽古していても、それは全然意味のない稽古になってしまうということです。

「虚は実に勝てない」これは絶対に覚えておかなければならないと思います。

経験を積み、高段者(同士)になればなるほど、虚の技で相手を動かすことが難しくなってきます。実の技、実の技で争わなければならなくなるのです。

4.まとめ

虚実とは、気の充実と空白の状態であり、一度理解して終わるものではなく、稽古と経験の中で深まっていくテーマです。

稽古の積み重ねの中で、特に「相手の虚」を感じ取れるようになることや、自分で虚を使っているつもりが、本当の虚になってしまったりすることがなくなっていくことが虚実を意識して稽古することの成果だと思っています。

言葉で説明できる部分は限られていますが、攻め合いの中で感じ取ることこそが、本当の理解につながっていくのではないかと思います。


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