
「心気力の一致」、割と長く剣道をやっている人でも、日常の稽古ではあまり耳にすることのない言葉かも知れませんが、調べてみると要所にこの言葉が使われているとわかります。本記事では、「心気力の一致」について、主に初心者や昇段審査を受ける人向けにわかりやすくまとめてみました。
心気力の一致とは
「心気力の一致」について、明確に説明している文章があまりないのですが、福岡県剣道連盟のサイトでは以下のように説明されています。
「心とは相手の心を推察して、判断、思慮、分別するものであり、気とは充実した気勢を言うのである。力とは身体の力であって筋肉を意味し、竹刀を持つ力、打突する力、及び踏み込む力である。 心気力一致とは、主に攻防動作の教えであり、心気力の三者が一体となって瞬間的に働くことにより、迫力ある有効打突が生じる。」
「心気力の一致」の要素
心(こころ)
心とは一般的には「人間の精神作用のもとになるもの、その作用、知識・感情・意思の総体などを指します。また、思慮、気持ち、思いやり、感性、望み、志など、多様な意味合いも含まれます」とされています。剣道では、心は“智”とされていて、お相手と戦うための知識や発想、感情や意思をコントロールするもの、お相手に対する敬意といったところではないかと考えます。
気(き)
辞書には、気とは「見えないとしても身のまわりに漂うと感ぜられるもの」とされておりますが、剣道では、構えや気勢、呼吸、気配といった“外に現れる心の働き”と考えられ、一言で言うと“意思”だと思います。
気迫・攻め・気勢の乗りといったものが気には含まれており、相手に対して「気で押す」などと言った表現は、こういったものが強く外に表された状態かと思います。
力(りょく)
力は、打突の力、足さばき、体の動きといった“身体の力”のことですが、これは決して腕力(パワー)のことのみを指しているのではなく、いわゆる「身体能力」のことだと思います。正しい姿勢・体さばき・竹刀操作によって身体全体から発揮される能力のことを言ってるのだと思います。
三つが一致するとはどういうことか
「心気力の一致」とは、この三つが別々に働くのではなく、同時に働いている状態のことだと思います。打とうとしてから動くのではなく、相手と対峙する中で、眼や耳から得た情報が直に精神の働きとなり、その働きに応じて迅速に技となり、自然と体が出るような状態を言っており、そのように出された技が最も威力を発揮すると言っているのではないかと考えます。
まとめ 〜稽古でどう意識すべきか
ここから先は、かなり個人的な見方を含んでしまいますが、「心気力の一致」は「気剣体の一致」とすごく同じようなことを言いつつも、もう少し時間的に長いスパンのことを言っているイメージなのではないかと思います。剣道の他の言葉で言うならば「剣心一如」などに近く、三つと言うのであれば、知力・気力・体力が一体となってはじめて本当に臨機応変な剣道ができると言っているのではないかと思います。
心について
どんなに心を燃やしていても、頭の中は冷静にして、常にお相手の一歩先を行くような柔軟な発想ができる心の状態を保つことが大切だと思います。
気について
充実した気勢、すなわち声を出し、攻め続けることが大切ではないかと思います。体を動かさずとも、十分に気が乗っていれば相手に圧力をかけることができます。
力について
ここで言う“力”は必ずしも腕力のことを言っているのではなく、俊敏性や柔軟性みたいなものも含んでいると考えられ、むしろ力まず、迷わず、体が、感じたことや思ったことに素直に反応できる状態であることが大切だと思います。
こういうことは意識してできると言うものでもないと思いますが、心・気・力のバランスを常に意識していきたいものです。